僕たちは名古屋に50年ほど住んでいる。
名古屋は手羽先が有名だ。
手羽先は店によって味付けも様々だが、僕たちは風来坊(手羽先チェーン店)の手羽先が気に入っている。
この歳になるとお気に入りの手羽先に限らず、食べる物や買い物する店、通る道、会う人など、行動パターンが同じになる。
いつもの通い慣れた道を、妻の詰子とふたりで、車で移動している。
詰子が言ってきた
詰子
あっ、ここに風来坊がある
オツト
ハハハハ。
詰子ちゃんがそれを言うの、30回目くらいだよ
詰子
マジで!?
この風来坊、はじめて見たよ
オツト
ハハハハ。
この道を通るたびに、毎回そのセリフ言ってるよ
詰子
マジで!?
全然覚えていない
あとがき
詰子は方向音痴です。
どんなに通い慣れた道でも、どこを車で走っているのか、自分がどこにいるのか、わからないようです。
だから、詰子が見る景色はいつも新鮮。
どんなに通い慣れた道でも、はじめて行く場所。
そんな詰子が風来坊を見ると「こんなところに風来坊がある」と思ってしまうようです。
僕はそんな詰子を責めるつもりはありませんが、やはりおもしろいので笑ってしまいます。
これは老化あるあるじゃなくて、方向音痴あるあるだな。
詰子ちゃん、今度通ったときも期待してるからね。
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