2泊3日の南紀白浜の旅も、最終日の朝を迎えた。
妻の詰子と朝食会場に足を運ぶと、部屋のカードキーがないことに気づいた。
僕には昔から、手に持ったものをどこかへやってしまう悪癖がある。
「あれっ、カギがない」
慌てる僕に、詰子は落ち着いた声で言う。
「おいオツト、よく探してごらんなさい」
ポケットを探ると、すぐに硬い感触が指先に触れた。
「あったわ」
詰子は呆れ顔で笑う。
「ハハハハ。あのさ〜、オツトくん、毎回言ってるよ」
「あっ、そう?」
「ないんじゃなくて、あるに決まってるの。今までになかったことがないの。いちいち騒ぐのはやめて」
いつものやり取りで朝は始まったが、詰子がいてくれるから僕は安心して慌てられるというものだ。
チェックアウトして帰路につく。
途中、道の駅に立ち寄る。
みかんや柿、産地の野菜などが所狭しと並び、秋の色彩が目に鮮やかだ。
しかし、何かがおかしい。
「あれっ、スマホがない。クルマの中かな?」
「またか」
詰子の声は冷ややかだ。
ポケットを探る。
「あったわ」
「おいオツト、いい加減にしろよ」
あとがき
詰子の言うとおり、見つからなかったことはありません。
でも、そのときは本当に無いと思ってプチパニックになっているのです。
出川哲朗のように「ヤバイよヤバイよ」となっているのです。
詰子は絶対にあるから落ち着けと言いたいようですが、反射的にそうなってしまうのです。
さて、おかげさまで、無事に帰ってきました。
帰りは京奈和自動車道を使ったのですが、この道路、橿原高田ー橿原北が繋がってない。
15時頃とあって、渋滞にはまりノロノロ運転。
先に言ってくれよ~、という気分です。
でも、京奈和道で帰ってきたおかげで、途中に寄った道の駅「青洲の里」で直産の果物を買うことができて、詰子は大喜び。
和歌山は柿とみかんですね。
詰子ちゃん、また行こうね。

みかん

柿

ホテルから見える美しい夕日

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