ハゲの美学

日記

僕は年を重ねるごとに髪が薄くなっている。
もう仕方がないことだと諦めているが、それでも散髪は必要だ。

「あぁ~、散髪したい」
「え? 全然、伸びてないじゃん」

妻の詰子がきょとんとした顔で答える。
全く悪気がないところが、逆に悩ましい。

「はぁ~、詰子ちゃん、それって『おまえ、ハゲとるで散髪なんて必要ないがや』って言ってるのと同じだよ」
「ハハハハ。私だけだよ。ちゃんと『どんどんハゲが進んでるね』 って言ってあげられるのは。もっと感謝してもらわないと」
「ハゲてるんじゃなくて、ハゲかかってるんです」
「ハハハハ」

どうも詰子には、この微妙なニュアンスが伝わらないらしい。

「つまり、今のオツトくんがハゲてないということは、オツトくんの言うハゲはつるっぱげっていうこと?」
「そうじゃないけど……」
「そうか。オツトくんは、ハゲてるんじゃなくて、ピヨピヨ毛なんだね」
「ぴよぴよげ!?」

詰子はこういうときに要らない能力を発揮してくるが、なかなかのネーミングセンスだ。
これには頷くしかなかった。

「まぁ、そういうことだな」
「ハハハハ」

あとがき

遺伝ですね。
僕の父もハゲてました。

髪の話ってデリケートなテーマという人がいますが、僕はそう感じません。
「あなたはハゲてるから散髪は必要ありません」は「あなたは五十肩だから腕が上がりません」と同じくらいの感覚です。
どちらを言われても「仕方ないですよね」となります。
分かってもらえるかな。

でも、気にする人がいるのも事実。
僕の友人で植毛した人がいます。
一年ほどで見違えるように髪が生えてきました。
以前ハゲていたとは思えないほどで、技術の進歩ってすごいと感じます。

僕はもう諦めていますが、これも自分の味だと思ってます。

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