僕は毎朝起きたら白湯を飲む。
いつものように、コップ一杯分の水を鍋に入れて火にかける。
沸いた白湯をコップに注ぐと茶色の液体になっていることに気づいた。
「なんだコレ?」
つい声が出た。
それを聞いた妻の詰子が振り返って言う。
「何を文句言ってるの?」
「鍋でお湯を沸かしたら茶色の液体が出できたよ」
「ハハハハ」
詰子は笑っているものの、自責の念を抱いているように見える。
「あのさ〜詰子ちゃん、この鍋で何やった?」
「スープを温めた」
「それか」
「ハハハハ」
詰子が続けて言う。
「オツトくん、すぐ、心の声が出ちゃうね」
「だって茶色の液体が出てきたから、驚いてさ」
「そんなことでいちいち大騒ぎしないで〜」
ひとりごとを言ったら怒られた気分だ。
あとがき
詰子がスープを温めて、鍋を洗わずそのままガスコンロに置きっぱなしにしたのが原因。
思わず「なんだコレ?」と言ってしまいましたが、洗ってない事を責めてるわけではありません。
無色透明の水が茶色の液体に変化したことに驚いただけです。
この歳になると物忘れがひどくなります。
人名や地名が出てこないし、スマホをどこに置いたか記憶がなくなります。
きっと詰子もとりあえず置いて、あとから洗うつもりだったのでしょう。
老化あるあるですね。
この“ちょっとしたズレ”が味わい深くて良いということにしておきます。

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