目の前に大きな荷物がふたつある。
ひとつは買い物かご。
カラなので超軽い。
もう一つはスーツケース。
重量はあるがキャスター付きなので楽に運べる。
妻の詰子と僕とのふたりで、家の玄関から車まで運ぶ。
数十メートルの距離だ。
詰子は女の子だから、僕は気を遣って軽い買い物かごを持ってもらおうとした。
オツト
買い物かご、軽いから持って
詰子
持てってこと?
オツト
うん、なんで?
詰子
別に両方をひとりで運んでも苦じゃないでしょ?
オツト
うん
詰子
なのに、どや顔して、どっちか持たせようとしてくる
オツト
せっかく気を遣ったのに意味がないってこと?
詰子
遣うところがズレてるってこと
オツト
そんなにズレてないでしょ?
詰子
ズレズレ
あとがき
我が家では、よくある会話です。
僕は「人間がふたりで荷物がふたつなので、ひとりひとつずつ運ぶ」と考え、詰子は「楽に運べるふたつの荷物を男の子が運ぶ」と考えた。
たったそれだけの違いなのですが、結果は大きく違います。
下手をすると大ゲンカになるところですね。
考え方は男と女で違うし、親子兄弟でも違います。
人は自分の考えが正しいと思っているので、我を主張しすぎると厄介なことになります。
つまり、相手の言うことを認め合うことが大事だということですね。
詰子ちゃん、荷物は男の子の僕が運ぶから安心してね。
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