沖縄旅行5日目の朝。
目覚めると、お腹が痛い。
下痢だ。
妻の詰子と朝食を食べに来たが、あまり食欲がない。
軽く食べただけだったが、そのまま部屋に戻ろうとした。
妻の詰子に言う。
そろそろ部屋に戻る?
詰子は何も言わず、コーヒーカップを見せてくる。
まだコーヒーが入っとるだろ、ってこと?
そしてまた、詰子は何も言わず、うなづくだけだ。
どうやら、忙しいようだ。
株価のチェックをしている。
詰子はリベルサスという血糖値を下げる薬を飲んでいて、副作用で胃腸障害が起こりやすいのだが、最近は体調がいいようだ。
まるでプロトレーダーの貫禄になっている。
しばらく待っていたが、なかなか席を立とうとしない。
僕は、ため息まじりにつぶやいた。
あぁ~、なんか胃が重いよ
オツトくんも私と同じ状況になると、胃が気持ち悪いときの私の気持ちがわかるでしょう?
いやいや、いつだって詰子ちゃんの気持ちはわかっているよ
いいえ、わかってません
ーーーー
詰子に言い返すほどの元気が出ない。
それにしても、俺はどうしてこんなにお腹が痛いんだ?
調子こいたからじゃない?
そうだな。
沖縄に来てからずっと食べっぱなしだったからな
オツトくん、調子こいちゃったね
ん~、ちょっと間違えただけかな
いやいや、間違えたんじゃなくて……調子こいちゃったね
ーーーー
(調子こいちゃったな)
やはり、詰子に言い返すほどの元気が出ない。
そして詰子は、してやったりの顔で、ほくそ笑んでいる。
あとがき
詰子はリベルサスを飲んでいて、体調が悪くなると旅行を楽しめないので、調子に乗って飲み食いしないように言っていました。
しかし、そんなことを言っていた僕が調子に乗って食べ過ぎてしまい、僕の胃が先に痛くなってしまいました。
ちなみにアイキャッチの写真は、クラブラウンジのローストビーフ。
大根ソースをつけて食べると美味い。
まぁ、それもこれも旅の思い出ということで。
さて、僕たちは老後資金のために株投資をはじめたのですが、今では完全に詰子の趣味となっています。
詰子は野生的な勘の持ち主で、勝負に出るべきタイミングがニオイでわかるという特技の持ち主です。
旅先でもスマホがひとつあれば、株価をチェックして、注文と決済をして、ニュースを読んで……と大抵のことはできてしまいます。
便利な世の中になりました。
老後だって仕事をしなければいけません。
株で食べていこうとは考えていませんが、スマホひとつで仕事ができるなら素晴らしいと思ってしまいます。
仕事をしながら旅行する、旅行しながら仕事する。
そんなふうにならないかな?
ならないか。
いやいや、計画しよう。
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