歯とハサミとトンテキの攻防戦

日記

琵琶湖マリオットホテルに来ている。
朝食会場には、色とりどりの料理が並び、まだ眠気の残る身体をやさしく刺激してくる。

ソーセージをひと口かじった瞬間だった。
前歯に、鋭い痛みが突き刺さる。

「あぁっ、ダメだ」
思わず声が漏れると、妻の詰子が顔を上げた。

「どうしたの?」
「ソーセージをかじったら、歯が『グギッ』ていった」
「ハハハハ」

笑われるほど情けない痛みだったが、本人は必死だ。
実に辛い。

朝食後、部屋に戻って荷物をまとめ、昼過ぎにチェックアウトした。
名古屋へ向かう帰路は、サービスエリアで休みながらのんびり進む。

土山SAでトイレ休憩を済ませ、空腹を覚えた僕らは御在所SAで食事をとることにした。
詰子が四日市名物のトンテキを食べると言い出し、僕もつられて同じものを注文する。

運ばれてきた皿からは、香ばしい匂いが立ちのぼる。
しかし、ひと口食べた瞬間、別の意味で衝撃が走った。

「うぅ~っ」
「どうしたの?」
「硬いわ~」
「大丈夫?」
「ハサミで切るわ~」

そう言って、僕はバッグの奥から“秘密兵器”を取り出した。
普段は恥ずかしくて使わない介護用のハサミだ。
だが今日ばかりは背に腹は代えられない。
トンテキをサイコロ状に細かく切り分けていく。

そして、恐る恐る口に運んだ。

「食べれるわ。美味い」
「良かったね」
「うん。ハサミってスゴイな」
「ハハハハ」

笑い声がテーブルの上に弾んだ旅の終わりである。

あとがき

羞恥心よりも実用性が勝ちました。
だって、しょ~がないじゃないか~。
噛めないんだもん。
ん~、噛めないのは辛いですね。

さて、無事に帰ってくることができました。
毎年、この時期の春先に琵琶湖マリオットホテルを利用します。
実は3月にも再び訪れる予定です。
しかも上旬と下旬に分けて、2回も。
このホテルは名古屋から近くて、温泉やプールがあり、快適なので気に入っています。

では、写真をアップします。

土山サービスエリアにて

オツトの朝ごはん

詰子の朝ごはん

とんてき定食。四日市のご当地グルメ。美味いが僕の歯には硬い。

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