母の記憶力

日記

母の様子を見るため病院へ向かっていると、妹から電話がかかってきた。

「今、お母さんのところに行ってきたんだけど」
「うん、それで?」
「昨日、先生に病状説明してもらって、先生と3人で話したこと、覚えてないっていうもん」
「マジで!? 今から病院に行くから俺からも聞いて確認するわ」
「お願いします」

病室に着いた。

「母さん、調子はどう?」
「いいよ」
「あのさ、昨日、先生と俺と母さんと3人で話したの覚えてる?」
「うん、覚えてるよ。内容はよく分からんかったけど」

本当に覚えているのか、適当に話を合わせているのか、疑わしい。
さらに聞いてみる。

「あれって何時からやったんだっけ?」
「3時だよ」

おぉ~、合っているではないか。
しかも即答だ。
どういうことだ?

そのことを妹に報告すると驚いていた。
妹は病状説明のことを何回も聞いたらしいのだが、母は覚えていないと答えたそうだ。
帰宅後、妻の詰子にも報告する。

「母さんの記憶力がいよいよ怪しくなってきたよ」
「まぁ、オツトくんも脳梗塞じゃないのに、お母さんと似たような言動をしてるけどね」
「!? どゆこと?」
「私が何回も説明しているのに、聞いてないって言ってくるでしょ」
「それとこれとは違うでしょ」
「同じです。だからお母さんも問題なし。オツトくんと一緒で適当に答えてるだけ」
「ーーーー(本当にそうだといいんだけどな)」

あとがき

大丈夫かな、心配です。
詰子の言うとおりなら問題ないんですけど。
しばらく様子を見てみないと何とも言えません。

さて、明日、退院します。
母は実家でひとり暮らしですが、古い家なので段差が多く、寒く、なにかと使い勝手が悪いので、病院にいるときのようにはいきません。
火の始末や転倒が心配です。

しばらくは、僕が泊まり込むことになりそうです。

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