詰子、夜勤に行く

日記

近頃、妻の詰子に変な癖がついたようだ。

詰子の職場は我が家から歩いて三分ほどで、坂道を下ればすぐに辿り着ける距離にある。
夜になると「ちょっと夜勤に行ってくるわ」と言って玄関を出ていくのだ。

向かう先は、職場のすぐそばにあるコンビニ。
目的はただひとつ、赤肉メロン。
それを誰もいない静かな職場で、ひとり楽しむのである。

そして、いつもなら文句タラタラの坂道を登り、満足げにウキウキとした顔つきで帰ってくる。

「詰子ちゃん、今日も夜勤に行くの?」
「行っちゃおうかな」
「ハハハハ」
「なに笑ってるの?」
「詰子ちゃんが夜中にコンビニ行くって言ってるもん。帰りは坂道を登るのに……」
「それだけ元気ってことだから良いことでしょ?」
「いいよ。で、行くの?」
「行っちゃおうかな?」
「行く気マンマンだがや」

あとがき

会計のとき店員から「フォークいりますか」と聞かれ、詰子は「お願いします」と答えるそうです。
そのとき、詰子の目がほんの少し輝いて、ほくそ笑む表情が目に浮かびます。

それにしても赤肉メロンとは。
ファミマなんですが、なかなかやりますね。
季節柄メロンもそろそろ終わりじゃないかな。

まぁ、いつも登りたくない坂道を自ら進んで行くのだから、良しとするか。

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